エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
天使たちの行方

源は飛行機を降りると、すぐにtaxiに飛び乗った。

そして、児島家や勇のケータイへと次々に電話を掛けてみるがどれもコール音が鳴り響くだけだった。

もう、これは何かあったとしか疑いようがない。

ひょっとしたら美佐子たちが何かしてきたのではないか……?

とさえも思う。

――美佐子?

飛行機の中では、少しも思い出さなかったあの女を突然思い出すと、不意に

――俺はつけられてないか?

と気になりだした。

早朝で走っている車は少ない。

源はtaxiドライバーに尋ねてみた。

「運転手さん。この車つけられてませんかね?」

すると運転手は驚いて

「お連れさんかと思ってましたよ。空港から後ろのtaxi距離は開けてるけど、ずーっと一緒だから……いえね、聞こうにもお客さん、ずーっとケータイ握りっぱなしだったからね。」

最後は弁解がましく言った。

……ツケラレテタカ…… 。

源はチッと舌打ちした。


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