エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
命はほとんど、まんじりともせずに朝を迎えた。
それは今日、火菜と結婚出来る喜びというよりは、昨夜の電話の不自然さにあった。
眠くなったからと、急に呂律が回らなくなった火菜。
確かに昨日は色んな事がありすぎて、疲れが出たんだろうと何度言い聞かせても、その不安は拭えなかった。
火菜がケータイを持っていれば、メールでも直接電話も出来たのに、丁度壊れていたし………
――よし!俺だけ先に火菜の所に行こう!!
命はベッドから飛び起きて、急いで身支度をし始めた。
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