エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
父は一途に深く母を愛したの。

そして二人は結婚した。

母も父だけを愛するように努力はしていた様だけど段々と退屈な日々に嫌気がさしてきていた。

それでもおとなしくしていなければならない。

私も父が大好きだったから二人はまるでライバルのように父を取り合ったの。

そして私が5才の頃の事。

庭で自転車に乗って遊んでいたら庭石に引っ掛かって転んだ拍子にお腹をしこたま打ちつけてしまったらしいの。

私があんまり痛がるもので父がすぐに病院に連れて行ってくれて、お腹を徹底的に調べたそうよ。

その結果、痛みは“打撲”だけだったけど、それよりも恐ろしいことが分かったの。

エコーでどんなに探しても“子宮”と“卵巣”がみつからないと…。

両親はそんなハズないと精密検査を受けさせたいと申し出て私は検査入院をした。

しかし無情にも同じような結果。

ただどちらもないわけじゃなくて、豆つぶの様に萎縮してしまっているのでほとんど機能しないだろう……。

という診断だったの。
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