エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
なんとか源が追っ手を撒いて、児島家に到着した。
早朝なので当たり前だが、静まり返った家の様子にインターフォンを押そうとする手にも力が入る。
すると後ろから
「もしかして、源さんじゃないですか?」
と声を掛けられた。
源が振り向くと、気の良さそうな長身の若者が立っていた。
「もしかして、命クンかい?」
「ハイ。そうです。はじめまして。」
命もこの瞬間だけは笑顔になって会釈した。
「よろしく。色々話したいけど、アイツらが気になってるんだ。とにかく先に確認したいから、いいかな?」
「ハイ。俺もです。気になって出てきました。」
ふむと源が頷くと二人は並んでインターフォンを押した。
しかし、インターフォンの音が虚しく響くだけで、中からはまったく物音がしない。
試しにドアノブを引いてみても頑として動かない。
「クソぉ!一体どうしたんだ。」
源が毒づいた。
「裏に回ってみましょうか!?」
二人は裏に回る事にした。
するとリビングのカーテンはレースしか閉められてなかったので、薄いレースと綴じ合わせた隙間から中の様子をうかがう事ができた。
「…………これは……。」
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