エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
真知子にとって“体”は女の一番の武器。

それがまともに使えない私は“不用品”と同じ。

それなのに父は私を可愛がるから母の不満はまた私へと向けられる。

昼間は私をまったく無視して放置同然なのに、夜は父母の寝室に一緒に寝かされた。

キングサイズのベットで夜な夜な真知子は父の上に乗って奇妙な声を上げて悶え続ける。

私はその激しい振動と騒音の中、すやすやと寝てるフリをしなければならなかった。

分かる? この地獄が…!?

それは私が小学6年生まで続いたわ。

「どうしてそれで終わったと思う?」


美佐子の突然の問いに


「……さあ?…」

と黒沢は答えるしかなかった。


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