エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

「私が終わらせたのよ　　その地獄を…。」

黒沢は　どうやって？と問う事も出来ずに、さっきからカラカラに乾いていた喉をワインで湿らせて先を待った。

すると美佐子はワインを一気に飲み干し勢いをつけて話しだした。

真知子を抹殺したのよ。

この家からね…。

それは意外に簡単だったわ。

その当時、屋敷には下働きの三十代の男がいたのよ。

少しオツムが足りないようでほとんど何もしゃべらないの。

体は１８０センチを越える長身の上にガッチリしててでも顔は大きく目が細くて、子供心に“フランケンシュタイン”みたいだと思って影で“フランケン”とあだ名したぐらいだったの。

でもなぜか真知子はフランケンがお気に入りで何かと呼び付けていたわ。

でもそれは“玩具”にしてたのよ。