エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
でもやはり一度体に染み付いた“悪”は消えない。

父にもその夜、母達の事を話したの。

父も相当ショックだったみたいで、それから父も変わった。

それまでは“白”に近いクリーンな政治家だったのに、色々な事に手を染めていったわ……。

おかげで知名度はどんどん上がって行ったけどね。

そして私にも、

「清彦と一緒になって後継ぎを設けて欲しい。」

と言うじゃない!

私は拒否したけど、夫婦とは形ばかりで清彦には『代理母』との子を作ってもらう条件で婿にする。と言うのよ。

私は自分の夫は自分でみつけたかった。

そして後継ぎがいるなら養子をもらうつもりだと言うと、

父は

「養子ではダメだ。この際血の繋がりは問題ない。しかし“実子”でなければなめられる。」

と言い張った。

思えばこれが父の初めての主張だったの。

だから私はそれを叶えてやる事にしたの。


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