エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「そうだったんですか。」

黒沢は相づちをうちながらそう言った。

美佐子は、

だから、私は大学を卒業すると同時に清彦と結婚したのよ。

それからの事はアナタも知る通りだけど、ただ母は私が27才の時に亡くなったの。

ある時フランケンがフラッと屋敷にやって来て、小さい骨壺を私に差し出すと

「まちこ…びょーきになって しんだ。」

と言った。

私は色々な事が走馬灯の様に駆け巡った。

そしてフランケンに聞きたい事もたくさんあったけど結局、

「そう。 教えてくれてありがとう。」

と骨壺を受け取る事しか出来なかったの。

そう言うと美佐子は涙を流していた。

生涯これで二度目の涙。

「どうしてかしら アナタの前では涙腺が弛んでしまう……。」

そう言う美佐子を黒沢はギュッと抱き締めた。

「泣きたい時には思い切り泣けばいいんです。」

「ワアーッ」

と声を上げて美佐子は黒沢の胸で泣きじゃくった。


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