エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
火菜も意気込んではみたものの辞書なんてチンプンカンプンで全然先に進まずにいると、命は時々、

「あっそうか!」

とか

「なるほどな!」

とつぶやきながらメモを取ったりしている。

火菜はいつのまにかその命の一生懸命な姿に引き付けられていた。

確かにイケメンと騒がれてたくさんの女子にコクられるだけあって、その真剣な眼差しはとても綺麗で独り占めしている自分がみんなに悪いような気さえする。

勇と比べてはいけないと思いながら、あまりに対称的なので、逆に比べてしまう。

どちらも細くて背が高いのだが、勇がヒョロッなら命は無駄な贅肉を一切省いて引き締まった体ではないのか…。

勇が優しく女の子みたいな雰囲気なら命は、イケメンのスポーツ選手って感じがする。

あまりにも火菜が熱い視線を送っているので、ついに命がキレて

「お前やる気あんの??」

と睨みつけてきた。


「いや〜やってるよ!ちゃんと頑張ってるから。」

焦った火菜がそういうと

「あっそう。でも俺分かってしまったゼ。」

「えーっもう!?スゴい!」

「でもこれは結構、危険な物かもしれないぞ!」

命の真剣な表情に火菜は

「やはりね。」

と思っていた。


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