雨上がりの空に…

車の屋根に落ちてくる雨音が次第に激しくなる中。


触れ合うことのない指先に、少しの不満を募らせる。

不意に首に回された腕に、極度の緊張を覚えて流されるかのように目を閉じた。

お互いの額がぶつかっただけ。

もう一度、今度は触れたか触れないか。

唇に掠っただけのキス。


合わさった視線の先に、あなたの照れた顔。あなたの瞳の奥にはわたしが映されていないことはわかっている。

でも、もう少しだけ一緒にいたかったわたしは。


「どっか行かない?」

気づいたらそう呟いていた。


< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop