【短編】朝露を身に浴びて
朝露を身に浴びて
薄暗くなり始めた 夜の入口。
ボクはカズヤ君と帰る途中だった。田舎町だったから、山道なんかは狭いし暗い。いつもそんな道を通って帰らなきゃいけなかった。
カズヤ君が前、ボクは後ろ。道の端を縦一列になって自転車をこぐ。
前から向かって来た車がヘッドライトを上げた瞬間、目をつぶってしまった。
前輪が何かにぶつかった。どうやらブレーキを握ったカズヤ君だったようだ。
急いで帰らなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。
宙に投げ出されたボクの体は、道路脇から見下ろせる林にそのまま転がり落ちる形になった。
ボクは転がるうちに、白い感覚に包まれて意識をなくした。