【短編】朝露を身に浴びて
━━━朝早く
冷たさが気持ちいい露を身に浴びて、静かな音の中で目を覚ます。
ボクは木だった。
いくつもの広葉樹がそびえ立ち、葉の間を駆ける光は、神秘的な雰囲気をこの森に与えてくれた。
周りに生える木で、自分の姿を想像した。
新しい環境に不満はない。
吹く風はどんな時でも心地よく、雨の恵みは全てを潤して、太陽を見上げれば心も晴れる。
なによりも、いろいろな生物と共存している感覚が、血の通わない身体にぬくもりを与えてくれた。