【短編】朝露を身に浴びて
━━翌朝
6の数で出ていった集団は、4に減らして帰ってきた。
お父さんと子どもがいない━━。
(フタリはどうしたの?)
「息子はすぐに罠にかかってしまったわ。お父さんは帰り際追いかけられたときに、はぐれてしまって、日が昇っても帰って来なかった。」
━━━捕まったのか。
(これからどうするの?)
「見つかってしまったから、きっとここにも人間がやってくる。だから、また移動しなくちゃ。」
(そう、気を付けて。)
「えぇ。」
夫をなくしたクマの背中は一回りも二回りも小さく見えた。
人がクマを怖れるように、クマだって人が怖くて仕方がない。