【短編】朝露を身に浴びて
いろんな動物がいなくなって少し静かになったこの場所で、ボクは相も変わらず根を張った。
葉を繁らせ、色を変えた。足元に積もらせて、寒さを凌ぐ。大事な部分が凍らないように。
無力に姿を変えながら、幾つも季節をこえた。
どれくらい経ったかわからない。新しい葉っぱを装い始めた頃、人間が来た。
散々うろついて、帰っていった。
しばらくして、また人間がきて、長い時間を共にした仲間が切られていった。
日毎にボクの方へ近づいてくる。
ボクの番がきた。やっぱり無力なボクは流れに身をまかせるしかなかった。
目の前が暗くなる。
目をつむる。