[ ne・o-Child ]
姉は窓を離れ、デスクの
イスに腰掛けたと思ったら
俺の方も見ずに

「彼女は、その研究の
異常さに怖くなったのね。

自分のお腹に子供が
出来たこともあって
辞めると言ってきたわ。

彼は・・・辞める前の最後の
仕事の条件として、
ALES(アレス)計画を持ちかけた。

それをやってくれたら
子供と共に解放してくれると・・・」

「でも、解放してくれなかった
んだね・・・」
と俺が閉じてた口を開く。

俺を見て軽く頷いた姉は

「それに生物学者だから
その先を見たくなったの・・・
彼女の旦那さんの方がねっ。

彼女は最後まで反対してたわ。
だって・・・女ですもの。

その7年後・・・」

「姉さん覚えてるよ。
櫂の母親は俺たちを
逃がそうとして射殺され、
その後父親も・・・

好きな人を殺すなんて
俺には理解できない!」
少し声を荒げる俺に


「裏切られたと思って
愛情が憎しみに変わった時、

手に入らないものを
永遠に自分のものにする方法。
考えた結果・・・突発的な
ものかしら?

あの人子供だから・・・フフフッ」

とそんなことを言い、
笑う姉を見るとその顔は
泣いてるようにも見えた。


デスクの上の電話がなり、
姉が受話器をあげず
フックボタンを押すと、

《朱李さん社長がお呼びです》

「すぐ行きます。」


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