[ ne・o-Child ]

家族の絆

ハルがゆっくりと話し出す。

「僕は10歳の頃、ここから船で6時間くらいかかる離島に両親と暮らしてた。

何もないのどかなとこで争いなんて無縁のそんな島にあいつらが来たんだ。

自衛隊の訓練と言う名目で山を貸して欲しいと、市長には多額な寄付金を添えて渡したらしい。

僕のいた島は夏には、観光客がたくさん来てたんだ。

海、目当ての人も、その山はキャンプするには
最適だったし、少し奥に入るとちょっとしたジャングルだった。

でも山でやってたのは
自衛隊の訓練なんかじゃない。

何だか変な噂が出回って、子供の死体がどうだって大人たちが騒いでた。


僕はバカだから肝試しか冒険みたいな感覚でワクワクしてその山に登った。

いつものキャンプ場を過ぎて奥に入ってしばらくすると何だか動物の腐ったような、今まで嗅いだことのない強烈な悪臭に包まれ僕は吐いてた。

来てしまったことに後悔した時には遅くて……

目の前にはドラマや映画でも見たことのない、リアルな光景と人間の死体がそこにあった。

僕はどうやって家に帰ったか覚えていない。

怖くて怖くて親にも言えなくて、ただ布団の中で震えてた。



……僕は見られてたんだ。」


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