[ ne・o-Child ]
「1日猶予を与えるなんて成宮さんも丸
くなりましたね。」

研究員の朱李(シュリ)が言う。

フゥ~とタバコの煙を吐いた後、

「あいつの脳に傷を負わせるわけには
いかないからな。」

「本当にそれだけかしら?」
朱李が意味深な笑みを浮かべる。

「それだけだよ。データが手に入ったら
もう用済みだとは聞かされている。
検査の準備は出来てるだろう?」

「えぇ、色んな分野のプロフェッショナル
も明朝には揃います。
 比較対照の【ne・o-child】のデータ
と実践の相手は成宮さんが選ばれるでしょ?」

机の上にファイルが置かれる。

「あぁ。……そういえばAPの時に訓練したやつが
一緒にいた。」

「初代ですね?」

「APの時の生き残ったメンバーと脱走した
やつのリストを別けといてくれ。」

「わかりました。では、失礼します。」


パタ―ン―――



REN……

最後の自由な時間を楽しめばいい。

明日からお前の意思はなくなるのだから……


窓に流れる水滴を見てあいつの涙を
思うと、俺の心はひどく高ぶっていた。



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