神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
オマモリサマは再び月読を抱きかかえて膝の上に乗せると、柔らかな背中を撫でながら続けて言った。


「鏡はここ、勾玉は九州にある。
…そして…そこは先程襲われた…。」


「何だってそこには忍と彩音が…」


声を荒げて立ち上がった沙綺だったが、白蓮ですら手に負えなかった敵を忍達がかなうはずはないと考え、愕然として肩を落とした。


「…沙綺の考えた事は分かる…でもまだ決まった訳じゃない!
オマモリサマ、そこはどうなったのか教えてくれませんか?」


透はわずかな望みにすがりたい気持ちで祈りながら聞いた。


「心配はいらん、皆無事や。…あは!亮太と遊びたいのぅ。」


オマモリサマは透達の知らない名前を楽しそうに呟いた。
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