神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

斧が刺さった地面が爆砕すると同時にボゴンッと堅い音を立ててささくれ立った！

まるでそこ周辺が針の山のように鋭い岩が隆起していた。


透は完全に避けることが出来ずに、足と肩に飛散した岩がめり込んでいた！


「なんだよ避けるな。今ので死ねば楽だったのによ。面倒くさいんだから早く死んでくれ…ってか死ね。」


地面から斧を引き抜いた牛頭はかったるそうに透に言うと、口の端を吊り上げてニヤついた。

その顔を見た瞬間、透は背中に激痛と衝撃を感じた！


「ぐぁああ」


前のめりに倒れ込んだ透はあまりの痛みに一瞬状況が判らなくなった。

しかしみるみるうちに地面が赤く染まっていくのをみて、後ろから馬頭に攻撃をされたと気がついた。

何とかひざを立てる事が出来た透は背中に痛みとは別の違和感を感じた。


（何か刺さっているな…ナイフを投げられたのか!?）


透の背中には彼が考えたように馬頭によって投げられたナイフが深々と刺さっていた！

即死の致命傷にはならなかったものの、このままにしておけば確実に死んでしまう出血量だった。