神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

「惜しかったねえ!!即死で死ねたら楽だったろう!?
そうはさせないよ！楽しもうじゃないか！先にイったら許さないよ！ヒャハハハ！」


馬頭が舌を出して挑発的に笑っていた。


「透！彼の手を借りろ!!」


突如幹矢の声が聞こえたかと思うと、フワリと自分が何かに包まれる感覚を覚えた。


（何だ!?この穏やかな霊圧は？）


透が薄らぐ痛みに戸惑いながら正体を探っていると、遠くから見ていた馬頭が笑うのを止めて憎らしげに言った。


「白蛇か…邪魔しやがって…！人間には過ぎたものを飼ってるじゃないか不動家当主！」


「飼ってる？それは間違いだ。彼は僕の友達だよ。…ねー？白ちゃん？」

幹矢はとぼけた振りをして透の方へ向かってそう言った。

すると、うっすらとしたもやが透を覆うようにして見えたかと思うと、次の瞬間白い大蛇になって透に巻き付いているのが見えた。


そして知的な目をした白蛇は幹矢に向かってチョロチョロ舌を出して一言呟いた。


『白ちゃんではない…。』