神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

「冗談だよ冗談！そんなに睨まなくても良いじゃないか。」


幹矢は白蛇に向かって慌てて手を振ると馬頭に向かってこう言った。


「気配を消した上に背後から狙うなんて卑怯な神様だねえ。
透が白蛇に治癒されている間、僕が相手になろう。」


懐から扇子を取り出しながら涼しげに言い放った幹矢に対して、馬頭は露骨に嫌悪感を露わにした。


「何だい坊ちゃん、随分と大きな口を叩くじゃないか…冥界の獄卒相手じゃ楽勝だってのかい？」

「なっはっはっ！そんなことはないさ。余りに恐ろしくて膝がガタガタ鳴ってるよ。
…でも諦めるわけにはいかないからね。」


そう微笑んだ瞬間幹矢の体から肌がビリビリするほどの霊圧が解放された！

その霊圧に驚きながらも呪符の準備か整った沙綺が、透の周囲に符術結界を配置した。


「神楽、しばらくそこを動くなよ！鬼の回復力があるからと言って無理しても体がもたねーぞ。」

沙綺にそう言われた透は背中に刺さったナイフを苦悶の表情で抜きながら頷き返した。