神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
まず一つ目に、三種の神器は神が現世へ降りる時の依り代となる道であり、天岩戸にかけられたアマテラスの封印を解く鍵である。

二つ目に、天岩戸の先にはアマテラスが創り上げた独自の空間があり、神界とは隔絶された場所に創造神がいる。

三つ目に、その空間へは三種の神器を揃えた力で行く事が出来るが、それはアマテラスが決めた規則の禁則事項である。

…そしてスサノオに対する最後の審判はアマテラスによって決められる。


命の話をざっと整理するとこういう事だろうと透は考えた。


(神器の力を引き出していたと俺が考えていたのは、単に溢れている力を利用していたに過ぎないって事だったのか…。
でも天照に全てを依託するほど信用するのは危険すぎる!やはり簡単に神器を渡すわけにはいかないな。)


透が命に他の質問をぶつけようとしたその時、今まで沈黙を保っていた元が口を開いた。


「命さんと言ったかな?金色白面九尾の妖狐よ…。日本三大妖怪に会う事があるとは思わなんだ。」


目を細めて見つめる元に、命は微笑み返して答えた。


「ええ、初めまして。何か聞きたい事でもあるのかしら?」


「なに、簡単な質問じゃよ。そなたの話を単純に信じたとしよう、その上でそこまで知っているそなたはどうするつもりじゃ?」


元はにこやかにそう言ったが、決して目は笑っていなかった。
おそらく自分達にそれを伝えた真意を探るつもりなのだろう。
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