神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
「話したかった事は大体そんな所ね。これ以上はあまり必要な情報は無いわ。
…っと、そうそう忘れてた。坊や、ちょっといいかしら?」


命はニコニコしながら透を手招きした。
そして不思議そうな顔をして近づく透にいきなり抱きつくと、顔を両手で挟み込んで唇を重ねた。


「んんん」


目を見開いて驚いていた透が、次第に瞳に元気が無くなり、命にされるがままになっていった。


「わぁお!」

「神楽!なんてうらやましい!」

「ちょっ!ちょっとアンタ何してんのよ!」


それを見てそれぞれが言葉を発した直後、命は艶やかな唇を離すと、うっとりした表情で透から離れた。


「ごめんね坊や、御馳走様。」


命がそう言うと同時に透はガクリと膝をついた。


「命さん…何をしたんですか…?この脱力感は。」


「…う〜ん…お食事よ。ちょっと力が足りなくて、坊やは妖混じりな上に霊力の絶対量が多いから分けてもらったわ。
酒呑童子がついてるから明日には回復するわよ。」


「嬉しいんだか…悲しいんだか…。」


それだけ呟くと透は気を失ってその場に倒れた。
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