神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
酒呑童子の低い声が頭に響き渡った。


(正直な思いを聞きたい。
俺達はスサノオに勝てると思うか?)


『…………。』


(ん?どうした?なぜ答えてくれない。)


透の問いかけに黙り込んだ酒呑童子。
…その心境は数分後、急に明かされ始めた。


『坊主、神って奴はよ…どうやったって殺せねぇんだよ。』


透はいきなり何を言い始めたのかと耳を疑った。


(何が言いたい?お前は復讐のために蘇ったんじゃないのか?)


『いいから黙って聞け。
…三種の神器を奴に渡すんだ。』


「何だと」


思わず叫んだ透に驚いた顔で振り返る仲間達。
しかし今はそれどころではなかった!


『三種の神器による天岩戸の召喚。
それはこちらにとっちゃ好都合なんだ。
…スサノオの奴が考えるほど天照大神は甘くねぇ。間違い無く奴は断罪されるだろう…。』


(それなら今までの戦いは無駄だったって事か!?今まで護り続けた意味は何なんだ!!)


透は酒呑童子の意図が分からずに混乱した。
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