神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
スサノオとの約束は夜明け前。

空は未だ暗闇が支配し、朝日が昇るのは少し先の時刻…透は独りきりで約束の地にやってきた。


透が自分の意志で一人で来た理由は今は明らかではない。

しかしその瞳には固い決意の炎が宿っていた…。

海からの潮風に身を震わせながら、透は岩に向かって叫んだ。


「スサノオ!居るなら姿を現せ!」


その声が風に流されて消える頃、空にぽっかりとした穴が四つ現れた!


「お前達は…!四天王!スサノオはどこだ!!」


そこに姿を現せたのは、風神、雷神、牛頭、馬頭だった。
彼らは一同に腕を組んだまま透を見下ろしていた。


「え〜!!うっそ、マジで一人で来たわけ!?」

「チッ!賭けは牛頭の総取りかよ!」


風神達は真顔で睨む透を無視して何やら盛り上がっている。


「よく来たな、神楽。諦めが肝心だって気付いたのか?
こっちとしちゃ楽な方を選んでくれて助かるがな。」


「牛頭…その様子だと俺達の監視はお前だったのか…。」


その問いかけに牛頭はギターケースを肩に担いだままニヤリと笑い返した。


「さぁな、馬頭が逃げ出すのを今か今かと待ってたのは知ってるがな。」
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