神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
透が勢いよく振り返ると、そこには沙綺の他に忍、彩音、御影、命、元が立っていた。
亮太が居ない所を見ると、神器が無くなっている事に気づいた元が宿に置いてきたのだろう。


「変な胸騒ぎがしたからお前の部屋覗いたら姿が無い!
水嶋様に報告に行ったら神器が無くなってるじゃねえか!
神楽!お前何考えてんだ!」


沙綺が敵の姿を警戒しながら透の元へと走り寄ってきた。

そして透が手に持つ神器を確認すると、襟首を掴み上げて顔を近付けた。


「それまで渡しちまったら最後なの知ってるだろ!?」


「……沙綺、許せ。」


透はそう呟くと沙綺の腹に拳を打ち込んだ!


「ぐはっ!……神楽…。」


地面に崩れ落ちる沙綺を支えた透は、忍達に向かって叫んだ!


「俺を信じてくれ!文句は後から聞いてやる!」


「アンタ…何する気よ!」


こちらに飛び出そうとする忍に一つ頷くと、透は沙綺を地面に寝かせてスサノオへと向き直った。


「受け取れスサノオ!」


そう叫ぶと、透は最後の神器を高らかに放り投げた!
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