神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
沙綺はその様子にすぐさま呪符を放つべく身構えた。

しかし雷神の鋭い視線が沙綺の行動を制していたのだった。


(ダメだ…今動くと殺られる!奴の雷の方が早い!)


沙綺はピタリと動きを止めると、横目で幹矢の所へ辿り着いた元の姿を確認した。


(水嶋様早く頼みます!数が減ったとはいえ戦力じゃまだ負けてます!
御影さんの結界ももう保ちません…。)


沙綺がそう願いながら雷神に視線を戻した時、後方から雷神に向かって何かが放たれたのを感じた!

耳元で風を切って放たれたのは一本の破魔矢だった。


バチィ!っと激しい音を立てて雷神の目前で弾かれた矢を見て、彼女は射られた方向へ目をやった。


「コレ…なんか意味あんの?」


雷神は弓をこちらへ向けた忍へ向かって呟いた。

忍は弓を射た右手を痛そうにプラプラ振りながら叫んだ。


「何よこの弓!硬すぎるわ!何で引くだけで霊力消耗するのよ!!」


忍はぼんやりと光を帯びた弓を見つめながら、信じられないといった顔で驚いた。
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