神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
「これはこれは姉上殿…お久しぶりですね。お変わりないようで…。」


スサノオは大げさなリアクションで手を広げて微笑んだ。
さも感動の再会だとでもいうように。

天照大神は腕が四本あり額にはもう一つ目があった。
それぞれの手が印を組み、神と言うよりは仏の姿に似ていると透は感じていた。


『坊主、あれが神格第二位の天照大神のようだな…。奴はああ見えて気性が荒いと言われている。下手な口出す前にスサノオの言葉を聞いてるんだ。』


(わ…わかった。)


透は酒呑童子の言葉に唾を飲み込んでスサノオの動向を伺った。


「さぁ、姉上殿。聡明な貴女の事だ、我がここにやって来た理由くらいお見通しなのであろう?」


「…わらわの目は全てを見通す。そなたの望む事も、そこにいる人間の考えも…。」


「ならば話は早い、我を創造神の元へと行かせてくれまいか?姉上殿も人間どもによって破滅が訪れるのが見えておるのだろう?」


そう言って透の方へ振り返ったスサノオは、瞳を赤く光らせてにやりと笑っていた。


「スサノオよ、この世には全て理というのがある。生きとし生ける者全てがいつかは死に、天へと帰る。その理を覆す事は出来ん。
…そなたの考えも理解できる。しかしそれは通らぬな…。」
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