神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
それを見つめていた天照は、彼らに向けてこう語った。


「それでは只今からそなた達に裁きを下す!
踏み入れはならぬ領域に足を踏み入れた罰は受けねばならん。」


その宣言に透は不服無く頷き返した。
スサノオに勝つことが出来ただけでも奇跡だ。それ以降こうなったとしても文句などありはしなかった。


『ちょっと待ちな、神様よ。』


その時酒呑童子が口を挟んだ!


「どうしたのじゃ?妖よ…。」


『この件の発端はアンタの裁きが甘かったせいじゃねーのか?スサノオに対する処分の責任がアンタにはあるはずだ。
それを棚に上げて他の奴を裁くだと?それじゃ筋は通らねえな!!』


透はその物言いと迫力を見て現世に居る、とある人種を思い出した。


(さすが鬼の親玉…元祖ヤクザだ…。)


わずかに顔をひきつらせた透は天照の様子を伺った。
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