神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
「ふっふっふっふっ…あーっはっはっは!面白いことを言う!このわらわに筋が通らないとは!」


『ケッ!何がおかしい!』


笑い声を上げた天照に対して、不服な顔をした酒呑童子は悪態をついた。


「この世の理は全てわらわが決める事…そなた達はわらわの決めた物事の通りに動いているに過ぎぬ。それでいて筋が通らないとは笑わせるではないか。」


そして酒呑童子の顔を見つめた天照は、彼を見つめて続けた。


「しかしそなたの言いたい事は分かる、確かに今回ばかりはわらわの裁きが甘かったと認めるしかない。少々現世への影響が大きくなったしな…。」


『それで?何か変わるってのか?』


「ふむ…それでは一度だけ機会を与えよう…。
そなた達の望みを言うが良い。それを聞いて裁きの内容を決める事とする。」


天照はそれだけ言うと、瞳を閉じて沈黙した。…願いを叶えるのではなく、ただ聞くために。


それを聞いた酒呑童子は透達に振り返ってこう言った。


『おう!ジジイ共!お前等から言え、俺様は欲張りだからなぁ!お前等の後に言わせてもらうぜ?優柔不断な坊主は俺様の後だ。』
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