神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
透達もロッカールームで手早く着替えると荷物を抱えてビーチへ出た。

持ってきた荷物はビーチパラソルと下に敷くシート、それと軽いスナック類だけだった。

手頃な空きスペースに休憩所を作ると、忍達が来るのをしばらく待った。


「なぁ神楽、後で忍達の目を盗んで少し女の子と話しに行かないか?
せっかく海に来たんだし出会いの一つくらいあってもいいと思うだろ!?」


沙綺が再び透の肩に腕を回してコソコソと耳打ちした。



「おまえも好きだなぁ。忍達がヘソ曲げたら帰りの車の中で気まずくなるぞ?」


透は呆れ顔で溜息をついた。

そんな透の様子にガックリと肩を落とすと、沙綺はパラソルの陰でのんびりと浜辺を見ている幹矢の元へ向かった。


「不動さん。一つ聞いてもいいっすか?」


トボトボとやって来た沙綺に顔を向けて幹矢が明るく答えた。


「どうした沙綺?そんなシケた顔して。」
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