キライなんです……
「言えるんなら、オレは何も言わないけど。

――でも、杏奈を見てると、どうもそうも思えなくてさ」


蓮センパイは、あたしの目をじっと覗き込んだ。


「杏奈は……

オレのこと好きでいてくれるんじゃないかって前から思ってたんだけど……


――それってオレのうぬぼれかな?」


蓮センパイの手があたしの肩に置かれて。


にっこりと微笑みながら、

蓮センパイの顔が、ゆっくり近づいてきた。


(……わ)


キスされるのかと思いきや。

蓮センパイの唇はあたしの耳元に――



「オレは……杏奈のこと、好きだけど」


低いささやき声。


(――え?)


「うそ……」


「うそじゃないよ」
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