キライなんです……
「……あたし、颯太のこと、好きになろうって努力してた」

「うん」

「あんなにあたしのこと好きって言ってくれたし。

――あんなの初めてだったから」


蓮センパイは小さくうなずいた。


「うん。わかるよ。

あいつのはしゃぎっぷり異常だったからな」

「やっぱりうれしかったし」

「そうだろうね。

……でも、好きになろうと努力してたってことは?」


あたしはため息をついた。


「そもそも、そんなに好きじゃなかったってことですよね」

「……うん、多分そういうことなんだろうね」


蓮センパイは頭をポリポリ掻いた。


「好きなら、好きになる努力なんて要らないからな」


センパイは、どこか寂しそうな笑みを浮かべて、あたしをまっすぐ見た。


「あいつと一緒にいる杏奈を見てて、なんか無理してるなって思ってた。

もしかしたら、そんなに好きじゃないのかもしれないなって。


……そうじゃないと、今さら杏奈のこと好きだなんて言い出さないけどね」


「……」



「……オレのことは?」
< 20 / 49 >

この作品をシェア

pagetop