キライなんです……
「んじゃさ、聞いてもいい?」


蓮センパイの目は、いたずらっぽくキラリと光った。


「杏奈、H、キライ?」



「……キライ」



「ありゃ」


蓮センパイは、あたしの手を握ったまま、首をガクッと落とした。



「……蓮センパイと、以外は」


「……杏奈」


センパイはにっこり笑うと、あたしを抱き寄せる。



耳元でささやかれる、低いやさしい声。


「杏奈、オレと付き合ってくれる?」


「……くれる?って、蓮センパイ……」

あたしは蓮センパイを見上げた。


「あたしなんかで、いいんですか?」


「……なんか、って何だよ」

センパイはまた笑う。


「あのね、杏奈だから言ってるんだよ」


「……」

あたしは、こくり、とうなずいた。


「んじゃ、これからオレの彼女な」

あたしの手を握る蓮センパイの手に、キュッと力がこもる。



もう一度、唇がそっと重なった。
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