キライなんです……
黙り込むあたしたち二人の間を、乾いた風がひゅぅぅっと吹き抜けていく。


「……マジで、別れる気なんだ……」


やっとあたしの気持ちが伝わったのか。

颯太はぽつりと言った。


「……聞いていい?」

颯太は怯えたような小声で言った。


「杏奈の好きな人って……だれ?」


「……」

あたしはそれには答えず、無言でほほえんだ。


「今までありがと」


きっぱりそう言うと。

くるりときびすを返して、あたしは歩き出した。



ふと思い出して、あたしはそこに立ちつくす颯太を振り向いた。

「ひとつ言っていい?」
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