キライなんです……
やっぱり、ニガテです
「あたし、ちょっと言い過ぎたかも……」


蓮センパイに肩を抱かれてとぼとぼ歩きながら。

後味の悪い思いで、あたしは思わずこぼした。


「なに?どんなこと言ったの?」

「……自分の下手さを女の子のせいにするな、なんて言っちゃいました……」

「たはは。結構言うね」

センパイはカラカラと笑い飛ばす。


「いいよ、それくらい言ってやっても。

ちゃんと思ってること言わないと、男って永遠に女の子の気持ちなんて、わかんないからね。

120%言うくらいでちょうどいいんじゃないかな」


あたしは何だかほっとして、センパイの日に焼けた精悍な顔を見上げた。


「……センパイもそうなんですか?」

「そうだよ」

センパイはにっこり笑った。

まぶしいくらいの笑顔。


「だから、杏奈も思ったことは全部オレに言うようにね」

センパイは人差し指を立てた。

「……あと、センパイじゃなくて蓮ね」

「……」
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