キライなんです……
さっきはつられて言っちゃったけど、

やっぱりいきなり、蓮、なんて呼べない……

だって、恥ずかしいもん……



「いきなり”蓮”って呼ぶのは照れくさい?」

あたしの顔を覗き込んで、蓮センパイは言った。

「あ……はい」

「そりゃそうだよな」


蓮センパイは笑ってうなずく。


「じゃ、少しずつでいいや。

気にしないで。

杏奈と一緒にいられれば、それでいいから、オレは……」


センパイはひと目も気にせず、道端でいきなりチュッってキスをした。

「きゃっ」



「……駅まで送るよ」


蓮センパイは、にっこりキラキラ笑顔を浮かべると、再びあたしの肩を抱いた。



駅までの道を、二人で歩き出す。
< 45 / 49 >

この作品をシェア

pagetop