キライなんです……
浅黒い、整った顔を見上げながら。


あたしはぽつりと言った。


「あたし……」

「……うん?」

「やっぱり、Hはニガテです」


「……うん」

蓮センパイは、穏やかな笑顔。


「いくら気持ちよくても……なんていうか……」

「うん」

「何だか、穢らわしいことしてるっていうか、”背徳のヨロコビ”みたいな気分がぬぐえないんです」

「……ああ」


蓮センパイは、深くうなずいた。


「わかるよ、それは。

そもそも”いけないこと”として、大人から慎重に隠されてきたわけだしさ。

そう感じるのは、ごくごく正常なことだと思うよ」

「……はぁ」


「特にご両親がそういうことに厳しかったりしたら余計にね。

”よくないこと”だって、後ろめたい気分になるのは当然だし」

「……はい」


「オレだって、AVとか見てて、嫌悪感沸くことだってあるし」

「……」


「男だってそうなのに、ましてや女の子なんか、常に被害者だからね。

痴漢、のぞき、レイプ、望まない妊娠……」

「………」
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