キライなんです……
蓮センパイは、穏やかな笑顔であたしの目を見た。


「別に好きになれなんて言ってないよ」

「……蓮センパイ」


「オレのことを好きでいてくれたら、それでいいから」

「……はい」

あたしも笑顔で答える。



駅の改札まで来ると、センパイは手を振った。


「朝ここまで迎えに来るわ。

その方が遅刻せずに済む……何時の電車?」

「え、えーと、8時10分に着きます」

「りょうか~い」


はじけるような笑顔のセンパイに見送られながら。

あたしはプラットホームへ続くエスカレータを上がっていった。



(蓮センパイとなら、気持ちが通じ合えるような気がする。

あたしの気持ち、きっとわかってくれる)


蓮センパイの姿が見えなくなっても、

あたしは後ろを向いて、笑顔で手を振ってた。



【完】
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