恋愛短編集
「んじゃーな!」
「ん、ばいばい、」
あたしに笑いかけて、教室を出て行く達也。
向かうのはきっと、1ヶ月前に出来た、彼女のところ。
あたしは教室を出て行く彼の後ろ姿を見ていた。
広くて頼りになる背中
あたしより大きな手
優しい笑顔
……大好き。
達也とはふざけて何度かキスだってしたことあった。
キスをしたときには、心臓が破裂しそうで、照れ隠しに達也を叩いたよね。
本当なら、いつも一緒に帰っていたのはあたし。
でも今は、そんな思い出あたしを苦しめるだけのものになってしまった。
教室には達也がいなくなって、あたし以外の人はいない。