恋愛短編集


ドア近くに達也がいる。
忘れ物でもしたのか、何故戻ってきたのかはわからない。

あたしは涙を拭いた。

泣いていたこと、気付いたかな。気付いてないといいな。



達也はあたしに近付いて言った。

「どした……?」

「、何が?」

「泣いてただろ」

「泣いてないし!目にゴミ入っただけだから~」

我ながら苦し紛れの嘘。
でも達也ときまずくなるのは嫌。

お願いだから、追求しないで。


「なんかあるなら、相談しろよ」

「う……ん」



馬鹿、優しくしないで。

「俺は聞くくらいならできるからさ」


あんたのせいで、こんなに苦しいのに。

「わかった……」



ああ、いっそもう、言ってしまおうか。

でも、そんなことをしたら関係は崩れる。

友達だから無条件でそばにいれる。

手は繋げなくても、肩を並べることはできる。


あたしにはそれが大切だから。


またこうして笑顔を作ってしまうんだろう。


「ありがと、達也」


end








HYさんの「NAO」と友達の恋バナをもとにイメージしました!

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