WETHER
「君が助けてくれたのかい」

「ええ…」

「助けてくれた事は感謝する、ありがとう、でも俺は逢わなきゃいけない人がいるので、失礼」

ベランダに行く為に、ガラスの扉を開けかけたとき

「待って」

開けかけた手が止まった。

「その人って、そんなに大事なんですか、それに今は真夜中ですよ、起きてるはずなのにどうして急いで行こうとするんですか、まだここに居たっていいじゃないですか」

少しの間、時間が止まったように感じた。


「その人は俺にとって大事な奴なんです」

女性は静かに聞いていた。

「そいつは、いつも暴力的でバカでそれでもっておせっかいなんですけど、いつも俺のそばに居てくれて一緒に笑ってくれてるんですけど…
昨日、そいつを泣かしちゃったんですよね」


女性は黙って聞いてくれてるのを一度確認した。
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