十二人目の彼氏は
「つかサボりかお前? 珍しいな」

「まーねー。たまにはいーでしょ」

 そうだ。

「ねえ瀬川」

「何だ?」

「タバコ頂戴」

 瀬川はタバコをいつも持っている。
「……ダメだ」

「何でさー頂戴頂戴ー」

「俺が一度使ったタバコならいいぜ?」

 まじ勘弁。

「わかったいらない」

「……ちょっと寂しいんだが」

 む、ちょっとやりすぎたかな。

 まあいいや。

  
「どうせ瀬川だ」

「えー……泣くぞお前」

 その時。

 キーンコーンカーンコーン……♪

 鐘が鳴った。

「と、学校終わり。じゃあね、それと」

 階段を降りながら

「勝手に泣けば?」

「ひでーな」

「アハハ」

 この時。

 瀬川が本当に泣いていたのを、私は知らなかった。
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