LOVER'Sハウス


「…あの〜、お二人とも今どこか分かります?」


と、不機嫌な顔で言ってきたのは悠介。


『…どこ??…って…』


あたしはバスの窓から外を見た。


『う、海ぃー!!!!!』


目の前には、大きくて広くて…とても綺麗な青色の水が永遠と広がっていた。


あたしは初めて間近で見る海に、目を輝かせていた。

海を見たことは何度かあった。…でも、それはテレビの中とか、雑誌で…と言う感じ。間近で見るのは初めてだった。



『海だぁ〜!めちゃくちゃ綺麗!!水、青い!!』


もう興奮してはいられなかった。その澄んだ青の世界に吸い込まれそうで…目を奪われていたんだ。



「…もしかして紗来、海初めて??」


『うん!パパもママも忙しくて連れて行ってもらえなかったから…。だから嬉しいの!!』


とあたしは笑顔で応えた。…みんなはなぜか、顔を赤くして黙ってしまった。



「…ねぇ、元。紗来ってホントに海初めてなの??」


「…あぁ。親父もお袋も会社の仕事で忙しかったし。…俺は再婚する前に何回か行ったことはあるんだ。」


「…そうなんだ…。」
 
 
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