LOVER'Sハウス
一視界が少しぼやける。
 
きっと、あんなに泣いたからだ…。


「紗来、なんかあったのか?」
 
夏野があたしを見て、心配そうに問いかけてきた。
 
…みんなに話そうかな…。

ううん。聞いてほしい…。

『…あ、あたしね…さっき同じクラスの子に告白されたの。』
 
みんなは静かに聞いてくれていた。あたしも安心できた。


『…その子、すごく優しくてあたしの大切な友達なの。…でも、あたしは友達以上にその子のことを見れなかった…。あたしが…傷つけちゃった…。』


…あたしが…あたしが悪いんだ、全部。
 
こんなことがあると、あの時の、あの十年前のことを思い出してしまう。



「…それで紗来は自分が悪いとか思ってんのか?」
 
元が真剣な顔をして言った。


『………うん。』


「…それは違うと思うよ?…その子のことを傷つけてしまったのは事実だけど…それは紗来が悪いんじゃない。」
 
優しく言う玲先輩。


「…そいつを友達以上に見れなかったのは、紗来のせいじゃない。…紗来はなんでそいつをフッたんだ?」

あたしが翔をフッた理由………。それは…。
 
 
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