LOVER'Sハウス
−一年前の入学式。
バカなあたしは、入学式が行われる体育館へ行く途中、迷ってしまった。
『もう!ここどこ!?誰か助けてー!!』
そう叫んで、その場に座り込むあたし。
とうとう、堪えきれなくなって泣き出してしまった。
一そんな時だった。
一つの大きな影が、あたしに覆いかぶさった。
「大丈夫??どうしたの?」
その声を聞いて、すぐに顔を上げるあたし。
目の前には、優しく微笑んだ男の子。
・・・同い年くらいかな?
「どうしたの?迷った??」
その言葉にコクンっと頷くあたし。言葉が出なかった。
「そっか。新入生だよね??」
『……うん。』
やっとのことで出た言葉。男の子はまた、微笑んだ。
「俺も新入生なんだ。名前なんて言うの??」
『えっと、香宮紗来です…。』
「紗来ちゃんね!俺は椎葉壱。壱でいいよ。さ、体育館行こう?」
『え?壱くん、場所知ってるの??』
「うん。兄貴が一人いるからね。この学校のことには詳しいつもり。行こ!」
そう言って、あたしの手を引っ張り、体育館へ連れて行ってくれた。
一それが、壱くん。