LOVER'Sハウス
一そして、放課後。
この時ほど、時間が過ぎるのは早いと思ったことはない。
…あたしは屋上にいた。あたしが学校で、一番好きな場所。
一ガチャ
屋上のドアが開いた。
振り向くと、そこにいたのは大好きな人の姿。
『……壱くん…。』
「…紗来ちゃん。どうしたの?」
壱くんが不思議そうに、あたしに近づいてきた。
…言わなきゃ!ここで言わないと、絶対後悔する。
『………あたし、壱くんが好きです。』
一言った。素直に、ありのままのあたしの気持ちを。
「…ありがとう。……でも、ゴメン。俺、他に好きな人いるんだ……」
…分かってた。答えなんて。でも、ちょっとは可能性あるかもって期待してた。
…でも、やっぱり無理だった。壱くんには他に好きな人がいる。
この事実は変わらないんだ・・・・・・。
それでも、あたしの素直な気持ちを伝えられて、よかった。
壱くんを好きになって、よかった。
…そう、心から思えるんだ。