LOVER'Sハウス
・・・けっ。こんな奴が兄とは思えないわ。



「紗来ちゃん!ちょっと。」


『んー!今行く。』


壱くんに呼ばれて、あたしは元を無視して、急いで壱くんにもとへ行った。



〜元&春奈〜


「………誰、あいつ。」


「…元くん、怖いから。…あの男は椎葉壱。サッカー部のエースで……」


「………なに?」


「…えーと、…紗来の好きだった人。って、今も引きずってるかもだけど。」


一少しの沈黙。



春奈は言ってもいいのか迷っていたが、結局、元の圧力に負けて言ってしまった。


「………告ったわけ?」


「まぁね。フラれたけど。椎葉は好きな奴いたらしいし。」


「…ふーん。」


この一言だけでも元が少し怒っているように聞こえる。春奈はそう思った。



「…元くんのシスコンは相変わらずだね?」


「……まぁね?」


と、春奈の微笑みに笑顔で返す元。


・・・このやり取りを、紗来はジッ…っと見ていた。





「じゃあ俺行くわ。またな、春奈ちゃん。」


「はい、また!」 


「紗来、紙渡しとけよ。」

『分かってるよ!』


「……機嫌悪…。」


って言って、元は行ってしまった。
 
 
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