LOVER'Sハウス
*夏野side*




俺には大切な人がいる。



…家は代々茶道の家元をやってきた、名家『水谷』。


水谷家は初代、つまり俺の大祖母から受け継がれてきた、川柳家。 


俺は茶道なんかに一切興味がないし、継ぎたいとも思っていなかった。



…だが、それも叶わず。誰かが継がなければ名家『水谷』も終わり。


代々伝えてきた、水谷家川柳を、母さんの代で終わらせるわけにもいかない。



一水谷家は、母の代まで女がやってきた。



だが、残念なことに男の俺が産まれた。…その二年後には悠介が。


水谷家の人は、みな悩んでいた。……俺はみんなを悩ませたくなくて、継ぐことを決意した。



一幸い、俺には茶道の才能があり、上手くいった。水谷家の人達も喜んでいた。





一そして、俺はある女の子と出逢う。


昔から水谷家と縁のある、香宮家の子供。



…初めて紗来と出逢ったのは、俺が小学五年の時。


まだ幼かった紗来は、妹みたいな存在だった。



一でも、しだいになにか変な感情がでてきた。






・・・紗来が好きだって言う、恋愛感情が…。



紗来にはまだ言わない。


…俺の最大のいじわる。
 
 
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