生徒会長様の憂鬱
昇降口前
「おー鈴夏やないかオハヨーサン、土曜日は大変やったなぁ、あ、生徒会長とエッチし、うぉ!なにすんねん!」
「うっさいそれ以上なんか言ったらコロス」
気さくに話しかけるふりをして人のプライベートにスパイクで足踏みしながら入り込んできた右京に跳び蹴りを食らわし。
教室で。
「おっはよーリン!気持ちよかった?」
虫も殺せないようなあどけない笑みを浮かべ、出会い頭にとんでも無い爆弾を投げたハルに無言でラリアットを食らわした。
なんだ、どいつもこいつも。本編終わった途端に下ネタばっか投下しやがって。
二度死ね!
一回死んだらもう死ねないとか思ってるだろうが、こっちは(推定)5回死んでるから。
神をも恐れぬ存在になってるから最早。
椅子に八つ当たりするように勢いよく座り腕を組むと、クラスメート達が憐れみの視線を向けてきた。
え、なに?
「鈴夏さん」
「あ、おはよう彩賀さん」
声を掛けられ顔を上げると、少しだけ悲しげに顔を歪めながら遅れて、おはようございます。と呟いた彼女は何か言いたげだ。
「あの…」
イヤな予感。
「冬真様とエッ」
「してません!!」
聞かれると思ったよ!期待を裏切らないよねホントに!
「そうですか、それは喜ばしい限りですわ」
途端に華やかな笑みへ変わった彩賀さんを見ながら、周りから視線を感じて焦点をずらせばやはりクラスメートの憐れみの目。
え。だからなんで?
とりあえずだ。
土曜日の出来事については彩賀さんや葵に右京、聞いた話によるとハルも何やら裏で色々やってくれていたようなのだ。
あいつが言ってた。
ちゃんと、お礼は言わないと。
「あの、ハル、彩賀さん…」
何故か気恥ずかしい気持ちになりながらも二人の顔を交互に見上げて頭を下げる。
「ありがとう」
きっと、みんなが居なければどうにもならなかった。